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2016年12月08日

一般質問H28.12.5①

細川かをりです。

私は都留文科大学出身です。前身は山梨県立臨時教員養成所で、文字通り、教員養成の学校です。先月、福田誠治学長が来県され、講演を賜り、様々な資料をご紹介いただきました。
これが学長の書かれた書籍、これが学長一押しのDVD「マイケル・ムーアの世界侵略のススメ」です。内容は、フィンランドの教育、フランスの学校給食、スロベニアの大学無料施策、イタリアの労働環境、チュニジアの女性進出など、主にヨーロッパ諸国の優れた施策を驚きとウィット、皮肉、感動をもって紹介しているものです。
今回は、ここからの話題と、もう一つ、この春隣県で教員になったばかりの私の次女の話を織り交ぜながら、いくつか質問させていただきます。

まずは伝統工芸についてです。手近な話で恐縮ですが、昨年次女は福井県の教員採用試験「高校美術」を受けるはずが、募集要項を見て急にやめると言い出しました。わけを尋ねると、「福井の美術教員採用が『日本画優遇』になっている。美術は極少ない枠だから、彫刻を専攻してきた私には不利。やめる。」とのことです。親としてはがっかりでしたが仕方がありません。
以前、県内高校の美術の先生も「教育委員会から、日本画を授業でやるようにお達しが来た。授業の内容まで言われるのかと驚いたけど、越前和紙を使うならばと納得するようにした。」とおっしゃっておられました。福井の美術教育は、ずいぶん日本画に力を入れておられるようです。
ただその時点で、「当然越前和紙が渡されると思っていたけれど、支給されたのは他の産地の和紙だった。教育委員会に理由を尋ねたら、『高いから安いのにした』と言われた。」と呆れておられました。

① 伝統工芸品の振興を図りたいとする県が、他の産地のモノを教育現場に支給するのは合わない話だと思いますが、まずその現状を伺います。

② 合わせて、越前市観光協会は天皇杯全日本サッカー選手権大会のように、東京オリンピック・パラリンピックでも『是非越前和紙でポスターを』と働きかけておりますが、地元開催の福井国体・大会のポスターは、越前和紙を使うのかどうか伺います。

一般質問H28.12.5②

さて、娘は絵画や彫刻をやっておりますが、「もしやり直すならば『建築・設計』をやってみたい」と言います。「建築は芸術の最高峰。絵画も彫刻も建築物の一部。」だからだそうです。調べてみると、確かにそういう考え方があります。
その観点で「伝統工芸品」について考えると、単にモノの提供だけではなく、伝統工芸品が映える空間の提案が必要です。
先月サンドーム福井で行われた伝統工芸品月間国民会議全国大会福井大会は、県内外の匠の技が集結し、来場者を魅了しました。私も毎日通い詰め、会場におられた職人さんたちと、様々話をさせていただきました。
職人さんたちは、圧倒的に増えている洋風建築にマッチする商品デザインなどを工夫されてはいますが、建築物側にも、「伝統工芸品が生きる空間」の工夫がほしいということは異口同音、意見が一致しました。
例えば、私のお花の先生のお宅では、トイレの壁際にタイル張りの小さな床の間を設けてあります。小ぶりの花きとお花、掛け軸が飾られ、しゃれたスペースとなっています。

③ 県内には多くの伝統工芸品の産地があります。それらを活かせる建築の工夫や実例を集め、伝統工芸品が映える空間づくりを広く提案していってはいかがでしょうか。建築側からの伝統工芸品や技術へのアプローチを望みます。


さて現代、知識や技術は速いスピードで変化しており、学校を卒業してからでも一生を通じて学ぶものになっています。ですから、学び方や学び続ける力が重要視され、先進国の学力観は、知識中心から思考力中心へ、社会に出てから実際に使える能力へと転換してきています。
PISAというOECD考案の学習到達度調査があります。2000年に調査開始、年代や人名といった知識の回答を求めるのではなく、自分の知識や論理的思考力を使って文章を解釈したり、現象を科学的に説明するよう求められたりといった学校で学んだことを実生活で生かせるかどうかの調査です。2003年の調査では、日本の成績は芳しくなく、PISAショックと呼ばれ大きな衝撃が走りました。
その時の世界トップはフィンランド。フィンランドは、ずっと安定的にトップクラスを維持しています。世界競争力年鑑が調査した「大学が経済のニーズに合っているか」という指数でも、フィンランドは世界一、日本の大学は下位です。
都留文の福田学長は、その「フィンランドの教育」について調査研究されており、著書の「競争やめたら学力世界一」「フィンランドはもう『学力』の先を行っている」にはその詳細が書かれています。
「学校の役割は、知識を詰め込むことではなく、情報を集め、比べ、取り出し、整理して知識を構成する力の育成に向きつつある。」と述べ、
「日本はアメリカやイギリスから『競争』という側面だけを学び、『何を』学ぶかの議論をおろそかにしている。」
と、問題提起しています。そう、学校は予備校じゃない。

さて、こうしたことを受け日本でも教育改革の議論が進んでいます。
2020年から全面実施される次期学習指導要領では「知識・技能」とともに「知っていることできることをどのように使うか」「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」という「活用力」が求められ、福井県でもこの「活用力」を問う問題を県の学力調査に取り入れるなど、その動きが感じられます。

④ そこで伺いますが、県では、こうした新しい学力観に対し、今後どのように取り組んでいくおつもりなのか、2020年の新学習指導要領実施に向けた道筋をお聞かせください。

一般質問H28.12.5③

「思考力・判断力・表現力」といった活用力は、知識として教えられて身につくものではありません。そこで「アクティブ・ラーニング」が注目を集めています。私の娘も勤務先の学校で「とにかく、何にでも『アクティブ・ラーニング』を取り入れろと言われる」と言います。県議会の議論でも、「アクティブ・ラーニング」という言葉が何度も出ています。まるで魔法の呪文のようですが、これはあくまでも一つの授業の型であり手段であり、目的ではないはずです。また、これまでのやり方に『アクティブ・ラーニング』という手法をただ加えるだけでは、現場の負担が増すだけです。

⑤ 『アクティブ・ラーニング』を取り入れてどのような授業改善につなげ、どのような『児童生徒像』を育もうとされているのか、加えて、学力トップクラス維持との両立を現場に求めるのならば、この変革時期、教員を増やすなどの支援がもっともっと必要ではないか伺います。


マイケル・ムーアのこのDVDでは、フィンランドの教育を探っています。フィンランドはかつてアメリカと似たような成績だったのに、方針転換で大きく学力が伸び、アメリカを引き離しました。マイケル監督がその秘訣をK・キウル文部大臣にインタビューしたところ、「宿題がないの」、「子供らしく日々を楽しまないと」という衝撃の答えが返ってきています。
現役高校生に聞いても「宿題はあっても10分か20分まで。」と言うし、高校の校長先生は「宿題という概念は時代遅れ」、「宿題を廃止すれば生徒たちはもっといろんなことができる」と答えます。小学校の先生は「木登りしたいと言ったら木登りの仕方を教える。木に登る途中できっといろんな虫を見つけて、次の日話してくれるはず。」と述べます。
低学年の授業時数は一日3~4時間で週20時間、西欧諸国で最も少ない時数です。小学校の校長先生は「脳を休ませないと」「ずっと酷使していると学べなくなる。それじゃ意味がない。」とインターバルの重要性を述べ、その通り、フィンランドは授業を減らし学力が伸びたのです。
フィンランドの高校生は宿題がなくとも、2~3か国語を話すことができます。語学重視は福井と同じ。テストはアメリカや日本のように選択式ではなく、記述式、自分で考えて書くから裏づけを調べ、正確に答える努力をします。
文部大臣も現場の先生方も、そろって口にするのは「統一テストを止めろ」ということです。「テストで点を取る訓練は教育ではない」からです。どこの学校に行っても教育は同じなので、学校間で比べる必要もないそうです。
マイケル監督が「アメリカでは授業の3分の1がテスト対策で、試験科目ではない美術や音楽、詩や公民の授業は無駄だと削られている」とアメリカ教育の現状を説明すると、フィンランドの先生方や文部大臣は信じられないといった表情で「生徒が自分の脳を活用できるよう、美術も体育も必要なことは全部教える」、「子供でいられる期間は短い。歌も絵も調理も自然体験も脳の活性化には全部必要だ」と言います。

不思議です。同じように「コンピテンシー=望ましい社会生活を送る能力」を養うことを目的としているのに、フィンランドと日米の教育のやり方がずいぶん違います。

私には、フィンランドの考え方の方がしっくりきます。
特に「キーコンピテンシー=核となる能力」は、9歳までの子供の「遊び」によって培われると、これまでも縷々述べてきたところですが、遊びはアクティブ・ラーニングそのものだからです。フィンランドの小学校校長も「子供は遊ばせたいの。子供たちは遊んで、友達と交流し、人として成長できる。学校以外の場所にも人生は山ほどある。」と言います。「遊び」はこれからの学力を養う基礎だとあらためて思います。

⑥ 福井の教育が、統一テストの「傾向と対策」に追われるのではなく、真の新しい学力獲得に向かい、生徒一人一人のより良い人生、幸せに結びついてほしいと願うばかりですが、今後の教育の方向性について知事にお伺いします。

一般質問H28.12.5④

さて、福井県の有効求人倍率は1.8倍を超え、全国2位とプラス評価されています。しかし職種別にみると、「建築・土木技術者」や「理容師・美容師」、保安、接客サービスといった職種は有効求人倍率5倍とか6倍とか、深刻な人手不足状態。逆に大学卒業者が多く求める「事務」が0.5倍で雇用不足です。全てをまとめた数字だと県内雇用状況は「いい状況」のように感じますが、実際には困った状況だと思います。

⑦ こうした県内雇用の人手不足・雇用不足の状況に、どう対処されるのかを、まず伺います。

「国家百年の計は教育にあり」と言われます。「人材育成こそ国家の要」です。
地域が求めている人材を育てるという観点で先ほどの県内有効求人倍率を見ると、人手不足の建築・土木技術者や理容師・美容師、保安、接客サービスを担ってくれる「人」を育てる必要があります。
先日の代表質問でも職業教育の強化が質されましたが、その際には高校再編における職業系高校の定員などは、各地区の進学状況、高校卒業後の進路状況から考えるとのお答えでした。生徒側の希望から考えるのも大事なことではありますが、雇用する企業側の意見も取り入れ、本県地域産業を支える人材を育成するのも大事です。建築・土木課など職業系のコースは定員を増やさないのでしょうか?あくまで、県外へ出ていく確率の高い進学コースの、それも難関校受験者を増やしたいのでしょうか?

⑧ 県は地域人材の現状と課題、将来像をどのように考えているのか伺うとともに、それを高校再編でどのように反映していくのか方針をお聞かせください。

ちなみに娘は金沢市が設置する唯一の高校、工業高校に勤めています。そこの方針は「地域産業が求める有為な人材の育成に努め、それぞれの時代に必要とされる知識・技能を学ぶことができるよう適宜、学科編成を見直している。昨年度、金沢型工業教育モデル懇話会から『金沢型工業教育モデル』の提言をいただき、今年度は、21世紀日本のものづくりを担う工業人を養成できるよう、具体的な取組を実施する。」「授業においては課題解決型学習の導入と今まで以上に産業界や大学と連携促進し、金沢型ものづくりを実施する」と明快です。人づくりに後れを取ってはなりません。

一般質問H28.12.5⑤

さて、福井の将来について、人口構成から考えてみたいと思います。
(グラフ①)これは、私の生まれた年である1960年。今年、2040年の5歳年齢ごとの福井の人口ピラミッドです。緑が14歳以下、青が15歳から64歳の生産年齢人口、赤が65歳以上のシニアです。この人口の多いところが団塊の世代、星印は私の位置です。
日本は、この1960年頃から生産年齢人口の多い人口ボーナス期で、高度経済成長を成し遂げました。しかし今は生産年齢人口の少ない人口オーナス期、経済成長率や貯蓄率の低下、社会保障費等の国の財政支出増大などの問題を引き起こしています。これから先は、生産年齢人口が更に減ります。
(グラフ②)その、福井の生産年齢人口をグラフにしました。現在の生産年齢人口は約45万5千人、1960年よりも少ない状況です。さらに、24年後の2040年の生産年齢人口はさらに減って推定32万7千人、国勢調査開始の大正9年を下回り、逆に高齢者は約23万8千人と、大正9年の6倍近くです。明らかに、長期的な成長力低下です。
今は、団塊の世代以上の方々が、アクティブシニアと言われるほど活動的に活躍されているから、市民活動・社会生活が何とか維持されています。しかし今後は、今と同様の市民活動・社会生活を維持するのはどう考えても困難です。
この週末のNHK番組でも、生産年齢人口の減少によってブラックバイトや深夜のワンオペレーション問題を引き起こし、人手不足や時給高騰が経営を圧迫、24時間営業から撤退するチェーン店が増えている事例などを紹介していました。働き手も限界です。
県は人口減少対策に何とか歯止めをと、計画を立て、尽力されているところではありますが、全体的な人口動態を勘案するならば、それらに加えて、これまで広げてきたものを、今後は合理化、縮小していく必要があるのではないでしょうか。

何事も、広げるときより縮小・撤退が難しいものです。私のつたない経験で申しますと、災害ボランティアセンターの設置・運営・撤退において、広げるときはどんどん行け!でいいのですが、縮小判断や後始末をきれいにすることの方が何倍も難しかった。毎回そんなものです。
また私の周辺では、既存の市民団体が高齢化と会員減少・活動維持に悩んでいます。先々、解散するのか、担ってきた活動内容をマイナーチェンジするのか、どこかへ引き継ぐのか・・・。
行政も現場丸投げのボランティア頼みがいつまでも続くとは限らないと覚悟すべきでしょう。

土地利用は?どんどん開発してきたけれど、中山間地域ではすでに耕作放棄地や空き家が増加、集落維持すら困難なところも出ています。自然に返すというのも一つの土地利用ですが、ほったらかしにしたのでは、セイタカアワダチソウだらけになるのがおちです。景観形成を考えた「自然回帰」を図らなければ、荒れ果てた福井県となってしまいます。

ソフト・ハードともに、地域のマイナーチェンジを賢く美しくすることは、喫緊の課題であり、戦略をもって進めるべきです。これまでアクティブシニアの皆様が、智恵と根性、活力いっぱいに活躍されてきたおかげで今日の発展があったわけですが、どうかもうひと頑張り、次の世代がやって行けるように、うまく合理化や選択と集中で縮小する目途や方向性を描いた上で、次世代に地域社会を引き継いでほしいと切に願うところです。

⑨ 県は、将来の福井の姿をどのように考え、今後どんな対策が必要と考えるのか、知事にお伺いします。