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2015年09月15日

i一般質問H27.9①

原子力行政に関して伺います。
先日、川内原発が営業運転に入りました。そこに至るまでの手順や責任の所在などを、国会の議論や法改正と照らし合わせながら注視しておりましたが、非常に分かりづらい状況なので、確認も含めて質問します。

川内原発では、先月11日、「起動後検査」を行うため、「原子炉内で制御棒を引き抜き、制御された核分裂連鎖反応が開始」されました。
このことをマスコミは、こぞって「8月11日、川内原発再稼働」と報じ、先の代表質問でも、笹岡議員が「先月、再稼働させた」と、また西畑議員が「8月11日に1号機を再稼働させた」と述べておられます。
現在、関西電力高浜原発は起動前検査を進めていますが、福井地裁で「運転差し止め」の仮判決を受けております。この「運転」の定義は、川内原発の状況と比べるならば、「起動後検査のための起動」となります。

①原発の「運転」とは、営業運転のことだけではなく、起動後検査のための起動も含むと考えますが、所見を伺います。

i一般質問H27.9②

続いて、再稼働の法的要件について伺います。
原子力規制委員会の新規制基準は、原子炉設置変更許可、工事計画認可、保安規定認可、起動前検査、起動後検査、これらがすべて承認されて初めて「規制基準審査合格」となるのだと、昨年11月6日の国会論戦で規制委員会の田中委員長より明言されております。
新聞報道によりますと、知事は先日の記者会見で「高浜原発3号機の燃料装荷は地元判断後」だとの認識を示されたとのこと。そうなりますと、先の質問と合わせて考えたとき、その「地元判断」は、「原子炉への燃料装荷と起動後検査」の前に行う、つまり「規制基準審査」の合格を待たずして行うことになります。
「県原子力安全専門委員会の確認」や「いろんな地元同意の手続き」が、国の「規制基準合格」を経ない前、つまり国のお墨付きを得ないままに行われるという、このあたりが私には理解しにくいところです。「起動後検査」とは、極めて軽いものだということでしょうか。

②燃料装荷の前、規制基準審査の合格前に行う「地元の同意手続き」とは、どういった事柄に対して何を判断基準として「同意する」ことなのか、ご説明願います。

i一般質問H27.9③

さて、福島原子力発電所の事故後、日本の原子力行政は、「適切な安全対策を施せば過酷事故は起こさない」という考え方から「どんなに安全対策を施しても原発事故は起こりうる」という考え方に180度変わりました。いわゆる「安全神話との決別」です。
 原子力行政もそれに伴い180度転換し、「過酷事故を起こしたときにどうやって住民を防護するか」という観点から新規制基準が作られました。IAEAに習った「5重の深層防護」の考え方です。

 規制庁は以前の「3層の防護」に加え、第4層と第5層を構築し、3層までの規制項目を充実させるとともに、第4層に対応する規制項目を設定し、新規制基準の目玉としました。
 しかし、肝心の第5層に関しては、「原子力防災」で対応、規制委員会の審査担当外だとしました。

昨年11月6日の国会審議の中で、原発再稼働の法的要件についても議論が交わされました。田中俊一規制委員会委員長は
「深層防護は5段階であり、五つ目が住民の防災避難計画でございます。その4段階目までは私ども規制庁がやります。」
と述べ、さらに、
「5段階の、いわゆる住民避難計画がきちっと出来た上でないと現実的には稼働という段階に入らないと認識しております。」
と答えています。「規制基準適合は、あくまで再稼働の必要条件であり、十分条件ではない」との、確認もなされました。

i一般質問H27.9④

 私は、それまで原発再稼働の法的要件に、避難計画が外れていると憂えておりましたが、よくよく調べてみると、原子力事業者側が規制委員会の指示で作成する事業者防災業務計画の中に、「住民の避難を事業者として支援する」と義務付けられています。つまり、30キロ圏自治体作成の住民避難計画に実効性がなかったり、あるいは原発再稼働に反対だったりということになれば、事業者は当然、整合性ある事業者防災業務計画が作成できません。
東京電力の常務執行役である姉川尚史氏も、「実効性ある住民避難計画は、再稼働の要件として必要だ」と明言しておりますが、その根拠はやはり事業者防災業務計画との整合性です。
一方で、その重要な住民避難に関しては、原子力災害対策指針にも原子力災害対策特別措置法にも、「住民の安全や防災計画に対して第一義的に責任を負うのは該当地方自治体だ」という趣旨が書かれています。県の責務は総合調整で、国は全面的に支援することでしかないと考えます。
県は原子力行政の責任は一元的に国に有り、広域避難に関しては地方任せでなく国の責任において行うようにと強く求めてこられましたが、結局、現行法体系の中、「計画策定、実施する責務」を負うは市町村です。市町村にとっては、本当に重く厳しい課題です。
 避難計画は決して形式だけのものであってはならないのですが、現状、住民からすれば、自治体が策定した避難計画が本当にうまくいくのか確証がなく、不安や不信ばかりが次々と沸き起こります。
その実効性、当該原発過酷事故時に地域住民の生命と安全を本当に守れるのかということを、国に審査機関がない以上、自治体自らが審査・検証する仕組みを作るほかありません。

③そのために、専門家と住民代表、議会代表、行政代表などからなる「広域避難計画実効性検証委員会」を設置するなど、県の総合調整が必要と考えますが、知事の所見を伺います。


一般質問H27.9⑤

全体の法律上の体系では、再稼働の法的要件のひとつが「規制基準適合」です。そして「実効性ある住民避難計画策定」や「地元同意」も実質的に必要とされています。ですから、仮に規制基準に合格したとしても、直ちに原発を動かせるとは言えません。
そして、前者の「規制基準適合」の責任は国に有り、後者の「住民避難」の責任は30キロ圏該当自治体にあります。想定外の事故に関しては電力事業者だとも言われます。
原子力行政は国策で、国に一元的に責任があるはずですが、細かく吟味していくと原発再稼働の政治判断責任は極めて曖昧です。これでは、原子力行政そのものに対する不信感が募るばかりです。

④国は覚悟を持ち、首相自らの口で「再稼働の責任は国が取る」と述べるべきであり、県として、強くそれを求めるべきです。知事の所見を伺います。

一般質問H27.9⑥

加えまして、改定原子力災害対策指針では、「30キロ圏外であっても防護措置が必要とされる場合がある」というそれまでの記載がなくなりました。UPZ圏外の自治体における積極的な防護策の必要性を削除したのです。
しかし、福島事故の現実を見ると、原発から30キロ以上離れた自治体にも放射能汚染は広がっているわけですから、UPZ外自治体が住民避難を必要とする場合があることは当然想定内です。
県内では、嶺北北部の自治体などがこのケースに該当します。

⑤この件に関しては、京丹後市や与謝野町、大津市、彦根市、米原市から規制委員会に対し、是正を求める意見書が提出されていますが、県の認識をお聞かせください。

⑥またもし避難が必要になった時には、現状ではUPZ外自治体住民の避難は誰が責任を取るのか、併せて伺います。


東日本大震災における原子力災害から得られた教訓は、「想定外にも万全に備える」という事のはずですが、時間が経つにつれ、国は少しずつその対応を縮めてはいないでしょうか。と同時に、その分、地方に肩代わりさせようとしてはいないでしょうか。
福島事故を経験したあとにあって、さらに重くなった原子力行政の責任を、一ミリたりとも県、県民、県議会が負うことのないよう、国の動向をしっかり見て、対処していくことを求め、次の質問に移ります。

一般質問H27.9⑦

教育について伺います。

教育委員会制度が変わり、知事や市町村長が招集する総合教育会議で、教育行政の大綱が策定されることになりました。
制度改革から半年経ち、インターネット上で、他県の教育大綱が少しずつ見えてくるようになりました。滋賀県は「心豊かでたくましい人つくり」として子供の育ちを支える環境作りにも大きく重点を置いているようです。佐賀県は「全国学力調査が全国平均以上に達していないので、各学校の学力向上の検証・改善サイクルを徹底する」、山形県は「郷土愛を醸成し、若者の県内定着・県内回帰を促進」、徳島も「地域を支える人作り」、神奈川では「命や人権、いじめの未然防止、規範意識と公共の精神の醸成」と、それぞれの特色を感じます。
これまでと違い、政治家がトップとなって策定されているからでしょうか、「政策」比べのようで興味深く眺めております。

本県でも、議会前に教育大綱案が示されました。「知事が定める福井県の教育」として、10項目の基本方針が示されています。
「高校では小中学校の高い学力を十分に活かしきれていないため、進路指導体制を強化」「難関大学対策のための志望大学別指導の強化」「英語の習熟度別学習」「英語スピーキング力や知識を活用する力の評価、高校別の問題設定」といった文言がまずはじめの方針として記載され、次に「英語教科化への先行対応」などと続きます。
大綱策定後は、これらの方針実現に向けた具体的展開を定めていくことになるのでしょうが、「結局のところ、この大綱の求めている人間像はいかなるものか」と疑問を感じます。脳裏に「難関校に合格し、英会話が堪能な若者が、大好きな福井で地域貢献する」という姿が浮かびますが、もしそれが行き着くところなら、針の穴に糸を通すような話です。

一般質問H27.9⑧

教育はすべての子供たちに対し、人として調和のとれた育成を目指して行われるものです。これは法の定めです。率直に申すなら、今示されている教育大綱案は、偏りがあると感じます。そこであらためでお伺いします。

①教育100年の計は人づくりです。福井の教育で目指す人間像について、知事の所見を伺います。

②また、かつては教育で最も重要だとされていたはずの「心の教育」に関する記述が見当たりません。「郷土愛」ぐらいでしょうか。「心を育む」ことに関して、いったいどうお考えなのか伺います。


③さらに、調和のとれた育成のため、学習内容の基礎的・基本的な事項を教育課程にそってすべての事項を子供たちに定着させることが大事であるという根幹の部分が、あまりにも薄いです。一方、枝葉である「イマドキの教育課題への対応」に関する記述が多く、バランスにかけると考えます。その枝葉を実現させるために、現場の負担が増大し、教員の多忙化に拍車がかかるばかりにならないか非常に心配です。知事の所見を伺います。

④合わせて、深刻である教員の多忙化解消への取り組み全体についても、知事の所見を伺います。

一般質問H27.9⑨

教育研究所を旧春江高校に移転されるとのことです。
私も若かりし頃、教育研究所で新採用教員研修を受けて以来、何度も研修受講で利用させていただきました。日頃は自分の中にあるものをはき出して教える教員生活の中にあって、研究所での講座受講は逆に知識やエネルギーを吸収できる貴重な場でした。現研究所解体に名残惜しさもありますが、そこに勤務もしておりましたので、施設の老朽化も存じており、今回の改築移転を歓迎しております。ぜひこの機会に、研究所の機能強化をと期待し、提言いたします。
 まず、カリキュラムセンター機能についてです。

 研究所勤務当時の10年前、全国の教育研究センターについて調べたことがあります。中で、京都市の総合教育センターが素晴らしいと知り、9年前、市議会議員になってすぐに会派視察として調査に行きました。何が素晴らしいかというと、現場の教員にとって、日常的に実効性あるサポートが出来ているのです。
 建物は地下1階、地上4階の建物で、面積はさほど広くありませんが、3階に平成15年設置された「カリキュラム開発支援センター」があります。教材開発室と情報資料室とで構成されており、設置3年目の平成18年当時で11,000点の指導案はじめ教育実践資料、44,000点の全国から収集した教育関係資料、16,000冊の厳選された教育関連図書が集められ、平日なら夜9時まで、自由に使えるようになっています。例えば、市内の先生方が開発した小中学校の英語教材や、研修用ビデオ・CDの閲覧ができます。教具一式がパッケージされ、借りて自分の授業ですぐ活用できるようになっていましたし、貸出も学校からメールで申込み、学校へ配達されます。いちいち教具を手作りしなくても借りればいいので、すごく助かるサポートです。コンピュータや大型プリンタを活用した教材作成も、センターでできます。羨ましい限りです。センターのホームページを開けば様子がわかります。「こんなの、福井にもあったら。」と、現場教員ならため息をつくことでしょう。きっと多忙な先生方の大きな助けとなります。
(http://www.edu.city.kyoto.jp/sogokyoiku/curri_c/news.html)
 福井の教育研究所にも、教育関連図書が利用できる図書室がありますが、利用状況は寂しい限りです。 
また、全国の研究施設や大学から寄せられる発刊物「研究紀要」など、教育関係資料が所蔵されている倉庫のような部屋もあります。こちらは、多分ほとんどの先生方は存在すら知らないのではないでしょうか。
 こうしたものをせめて一堂に集め、活用できる機能が必要だと、私がいた当時にも模索しましたが場所がなく諦めました。それらに現場で使える実践資料をストックしていくことで、京都ほどでないにしろ、カリキュラムセンターは作れるはずですから、今回の移転は大きなチャンスです。

⑤教育研究所には、現場サポート機能の強化が必要です。他県のように、カリキュラムセンター機能を充実すべきではないかと考えますが、所見を伺います。

一般質問H27.9⑩

最後にもう一つお尋ねします。
指導力不足教員への対応についてです。
10年前には、教育研究所で、半年スパンで指導力不足教員の資質向上研修が行われており、何人かの先生が在籍されていました。後年解消されたと聞いていますが、こういった制度は恒常的に必要だと思います。
 やはり京都市の例ですが、市では平成9年に「地域教育専門主事室」を設置、「子供たちに対する教育保障」の視点を重視し、指導力不足教員の早期発見・早期対応、日常的指導の徹底と厳正な対応を行っています。指導主事等による「合同訪問指導」ほか、指導力不足が原因の長期休職から現場復帰する際に行う「復帰時集中指導」、指導力判定委員会が指導力不足と判定したら3ヶ月間の個別指導を行い、分限免職や退職勧奨もありだとのこと。
当時で19名が分限免職でほかの職務につくなどしたと伺いました。

⑥かつて教育研究所で指導力不足教員の研修を行っていましたが、その後どうなったのか。今の指導主事の業務内容を見直し、指導力不足教員に対する分限処分も含めた現場支援が必要ではないかと考えますが、所見を伺い、私の質問を終わります。