重ねてこのことをお話するのは、「主権者教育」として今まさに必要な中身や考え方がここにあると考えるからです。ベルリン州政治教育センターでの聞き取りによると、例えば、
民主主義とは、根本に「市民の責任」があってのこと。
民主主義の原則は『意見の多様性』で、ひとつの問題でもいろいろな立場や考えがあると教えることが重要。
日本の低い投票率は民主主義の危機である。
と、民主主義の有り様を見つめます。若者のみならず、投票率が低下している今日、政治離れの原因をしっかりつかみ、向き合い、本質的な対応策を急がねば、民主主義は歪むばかりです。また、
一人ひとりが自分の意見を形成できるようにしなければならない。
ひとつの情報源しか持たない若者は洗脳されやすく危険だ。
ひとつの政党の考えを教えるのではなく、政治を取り巻くありとあらゆる広がりを教える。たとえば、「原子力エネルギーの問題」では反原発と推進のそれぞれの立場の資料をもとにディスカッションを行う。センターは、あくまで中立の立場である。
中立にしても講師陣の選定は問われ、批判に常にさらされる。きちんと説明できなければならない。ベルリン州政治センターには議会選出の監査がいる。
私たちの中立性を見てほしい。すべての党の代表とディスカッションしている。
と、教育のポイントや、『中立性』についても明快な答えがあります。さらに、
メディアリテラシー(=情報基礎教育)が大事だ。
学校は情報源が一つで洗脳されやすい。多様な意見があるといい続けるしかない。
と、「中立」という言葉とともに、「多様性」、「情報」という言葉がよく出てきました。これは、ナチスがユダヤ人や障碍者、同性愛者を虐殺した歴史や、「一度起きたことはまた起きる」という考えのもと積み重ねてきた政治教育の取り組みの中から発せられており、非常に重要なキーワードです。
本県では、主権者教育の一環として、松平春嶽・横井小楠・由利公正ら『郷土の歴史・偉人について学ぶ教育を充実』させるとのことですが、当時の「公議輿論を尊重する自由でおおらかな統一国家の思想」「ふくいの思想」の学びから、今の日本の政治社会を見つめ直し、「民主主義」や「主権者としての自覚」をしっかり育んでいただきたい。
次代を担う若者が、マスコミに踊らされたり、衆愚政治に流れたり、歴史の悲劇を繰り返したりしないよう、堅実に未来を切り開いていくようにと、心より願ってやみません。
「本県の教育は日本の教育のモデルとなっている」とおっしゃるのですから、ぜひとも中身の充実した「主権者教育」を実現させ、発信していただきたいし、こうした「主権者教育」の議論が、学生だけでなく、国民全体が民主主義について考えるきっかけとなってほしいと期待するところでもあります。
①あらためまして、本県総合教育会議で「教育大綱」を策定される知事に、主権者教育についての御所見を伺います。
②加えて、平成26年2月議会において答弁された、政治や選挙の大切さを学ぶための教員への研修について、具体的な進め方を伺うのですが、先ほどの西本議員へのご回答でも伺えました。今のところ高校の先生方対象のみでしょうか。そのあたりも含めて再度お聞かせください。