2月議会3
さて翻って我が国のエネルギー基本計画の策定経緯ですが、相変わらず経産省のお膳立ての元、事故以前同様の手順で計画が策定されています。そこでは、「科学的・技術的」な議論、あるいは「経済的」な議論はなされてきましたが、残念ながらドイツが重視した「倫理的に原発はどうか」という観点での議論はほとんど聞こえてきません。
ドイツの倫理委員会では「原子力エネルギーと放射性廃棄物のリスクを誰が担うのか。」あるいは「もし原子力が安全ならば、なぜ多くのエネルギーを消費している人口の中心地から遠く離れた田舎に原発が建設されるのか。」などという問題に真摯に向き合いました。日本でもこうした「倫理的」課題を多くの人が抱いています。小泉元首相の「核のゴミ処分場のあてもないのに原発を進めるのは無責任だ」との投げかけは、まさにこの倫理的問題の論点の一つです。
「子供たちにつけを回してはいけない」という「世代間正義」や、「どこの地域がリスクを担っているのか」という「地域間倫理」に関し、国民的理解が必要です。「科学的」「技術的」「経済的」議論をもとにした説明だけでは、国民の多くが抱いている「倫理的」な疑問を払拭することは困難です。「原子力エネルギーを利用する」とはどういうことなのか、「原子力エネルギーと放射性廃棄物のリスク」を誰が担うのか議論し、社会に示すべきです。
② 知事、日本でも原子力倫理委員会を設けて、より深い、道徳的・倫理的課題を検討するよう国に要望すべきではないでしょうか。御所見を伺います。