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2013年03月07日

2月一般質問8(教育行政)

ゆとり教育について伺います。
昭和45年、小学校6年生の総授業時間数は年間1085時間でした。それが完全週5日制を経て、1998年には945時間と、実に30年間で140時間減少しました。総合的な学習が導入され、その分さらに教科時間数が削られ、国語を例にすると、年間245時間から175時間へと、実に70時間も減少しています。こうした状況から学力低下が問題化し、第1次安倍内閣で、ゆとり教育の見直しが始まり、近年の新指導要領改訂でようやく若干ながら学習内容が増加しました。小学校から順次「脱ゆとり教育」に転じ、この春からは高校でも1年生から新指導要領による教育に変わります。
 
ゆとり教育の開始前に、都会の私立学校の先生が「子供たちは幼児期からお受験で忙しく、学校では遊ばせなきゃいけないのよ。」とおっしゃいました。でも私は、「福井の教育事情とは違う。福井は公立学校が多くお受験ブームにはない。だから、福井にゆとり教育はそぐわない」と思っていました。しかし結局全国一律にゆとり教育が行われ、本来しっかりと身につけさせるべき基礎基本の学習がおろそかになったと、私は忸怩たる思いでいました。
現在キャリア教育やサイエンス教育の必要性が叫ばれていますが、それもかつては小学校1・2年生の社会科や理科でちゃんと学ばせていました。理科では、朝顔を育て、花の色水に酢や重曹を加えて色の変化に驚き、科学の不思議さ・面白さを体験しました。小学校2年生の社会科では地域の仕事を調査、近くの郵便局に見学に行って、集配や仕分けの仕組みなどを学びました。当時ご説明いただいたのが石橋郵便局長で、やさしくわかりやすいご説明に、「郵便局の仕事ってすごいね~。」と感激して帰ったものです。
「ゆとり教育」のために、それらをなくして生活科に変更してしまったことを本当に残念だと思っています。
また、多くの時間を「総合的な学習」に割かれました。「自ら課題を見付け,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,問題を解決する」と、聞こえはいいのですが、活動内容に定めはなく、「児童の学習状況に応じて教師が適切な指導を行う」という自由な時間は、教員の力量に大きく左右されるものです。
日本ではかつて、同じような「自由研究」という特設時間を儲け、研究と実践がなされたことがあります。戦後の昭和22年のことです。教師に委ねられた新しい教科は、福井県の教育百年史によると、「新教育の趣旨を踏まえた理想的なプランだったが、現場にそぐわずいろいろな問題点があった」「教師自身の能力不足により、もてあます一面もあった」ということで、後に廃止されています。私の感じている総合的な学習の問題点と同じです。教師の力量に左右されたり、多忙な現場ですから準備が追いつかなかったり、多くの時間を費やして、成果が芳しくなかったり、水面下では問題がたくさんあります。
安倍首相は教育改革に取り組み始めましたが、今度は、都会感覚での改革ではなく、本来子供の人格の完成のためにどんな資質が必要で、それらをどういう教育で身につけさせるのか、しっかりした「学力保障」の方向性を定めてほしいと考えるところです。

⑭ これまでの「ゆとり教育」とはなんだったのか、これによって福井の教育はどう変化し、そして今後はどういった方向に進むべきなのか、今、総括をし、そして、教育県ふくいから、今後本当に必要な教育は何かということを、国に対して述べていくべきと考えます。県のご所見を伺い、質問を終わります。

2月一般質問7(教育行政)

スポーツ選手の育成に関して伺います。大阪桜宮高校の体罰事件を受けて、現場での体罰の調査や体罰禁止に向けた動きが活発化し、県でもご努力いただく旨、心強く思っています。
大阪の事件の背景には、部活が「勝利至上主義」に陥っていたことがありますが、その弊害は体罰だけではありません。選手の取り合いや使い捨てなど、およそ教育とは程遠いことも起こります。
特に心配なのは選手を酷使するあまりに起こる「スポーツ障害」です。これまで、過激な練習で疲労骨折や関節障害を起こし、早くに運動を断念せざるを得ないケースをよく目にしてきました。成長期の身体の場合、成人以上に注意が必要であるにもかかわらず、目の前の「勝ち」を優先し、選手に無理をさせ、結局つぶしてしまう…選手の育成は、その子の将来も見据えたものであるべきです。
現在もそういったスポーツ障害や熱中症などに関する指導者研修を行っているとは聞いていますが、この際、長期的視点で選手を育てられているのか、検証すべきです。

⑬ 福井国体を前に、指導者の研修を、技術研修だけではなく、安全管理やスポーツ障害に関しても、しっかり行うことを望みます。スポーツ指導者の研修に関するご所見と実態を伺います。

2月一般質問6(教育行政)

教師、中でも学級担任は、教科指導の能力とともに学級経営能力が求められます。
望ましい学級集団を育むには、子供をよく観察し、必要な助言を与え、やる気を引き出さねばなりません。その学級経営能力は、教師自身のコミュニケーション能力や団体生活のマネジメント能力、洞察力、信頼される言動、倫理観などによるものです。
 しかしながら、そういう力を採用試験で判別するのは容易なことではありません。
私は教員研修にも携わっておりましたが、研修生の中には、実際道徳性に欠ける言動の教員もおりました。「どうして採用されたのだろうか」と不思議でしたが、提出されたレポートを見たら、言動とは裏腹な模範的内容が美しい字で書かれていたので、「レポートを取り繕って書くのがうまかったのだな。」と確信したものです。つまり、レポートで人の本質を判断できるとは限らないということです。 虚飾は子供に通じません。純真な目は、大人の本質を鋭く見破るものです。
 
⑨ 今回、教員採用試験の方法が変更になるとお聞きしましたが、どういった点にポイントを置き、工夫しているのか、お聞かせください。

⑩ ちなみに、代替教員として現場勤務実績がある場合には、その実力や人となりが明らかになります。現場評価は、どんな工夫された試験よりも当てになることですから、それを採用の際の参考項目として織り込むべきではないでしょうか?重ねてお尋ねします。
 
加えて、条件付き採用制度について伺います。
公務員は採用後の6か月は条件付き採用で、その間、職務を良好な成績で遂行してはじめて正式採用となります。期間中の身分保障は適応除外なので、その能力の実証を得られなかった職員は、容易に排除できる仕組みです。教職員はその試用期間が行政職員の倍、1年間です。

⑪ 何故こういった制度が定められているのか、条件付き採用制度の趣旨と、教職員の仮採用期間がなぜ長いのか、その理由、さらに、これまでのこの制度の県の実績をお聞かせください。

⑫ この制度は形骸化していると思っていますが、教育現場のためにも本人のためにも、本来の趣旨に基づき、厳格に運用すべきではないでしょうか。ご所見を伺います。

2月一般質問5(教育行政)

大津市のいじめによる自殺事件を受けて、国ではその防止策として道徳の教科化を検討しています。私はそれに違和感を覚えています。事件のあった学校は前年度文部科学省道徳教育の研究指定校でした。文科省の指定となると、通常2年ほど前から研究を行い、発表に向けた研究授業を重ねます。発表翌年でさえ、全国から視察が訪れ、十分すぎるほどに授業が行われます。大津での発表も、成果を高らかに示し、成功裏に終わったことと推察しますが、それなのに、事件は起こったのです。
私も、文部省の道徳教育研究指定が前年に当たっていた学校に赴任したことがあります。その子供たちは道徳の時間に教師がどんな模範解答を求めているのかよくわかっていて、それに合わせて発言することに長けておりました。参観者が来る授業だと知って「おい、今日は『裏』やぞ」と児童が叫び、見せるためのあざとい授業態度に豹変したという逸話もあるほどです。結局「虚飾が身に付いた」ということです。
それを思うと、道徳の授業を強化して、いじめが減るというのは、短絡的な発想だと思うのです。本来の道徳教育は、その授業の中だけで行うものではなく、教育活動全体を通じて行い、実践に結び付けるものです。中でも、いじめ解決に直結する実践力を養えるのは特別活動の時間です。特活の基本方針は「好ましい人間関係の醸成」「基本的なモラルや社会生活上のルールの習得」などで、様々な集団活動を通して実践的に道徳性の育成ができる貴重な時間です。それが、ゆとり教育や週休二日制などの関係で、時間数が大幅に減ってしまったことの方が問題だと考えます。

⑧ 国は、ゆとり教育で「学級活動」の時間を削ってしまったことを反省し、教員が子供たちをよく見て、学級集団に働きかけを行う時間が確保できるようにすべきで、国にそういった投げかけをすべきです。教育長のお考えをお聞かせください。

2月一般質問4(将来ビジョン)

特に私は、ビジョンに述べられた「過疎高齢化集落の増加など地域の役割・機能の低下」や「耕作放棄地の増加や山林の荒廃など自然環境の破壊や風景の劣化」といった課題に歯止めがかかっているのか、その達成状況を知りたいと思っているところです。

⑤ 過疎高齢化集落の増加に関する課題克服の、進捗状況をお教えください。
⑥ 同様に、耕作放棄地増加や山林の荒廃についても伺います。

加えて伺います。先日県都デザイン戦略の議論の際に、同僚議員から「県都の議論は盛んだが、奥越地域などはどうするのか」という旨の意見が出ました。実は私も自分の県政報告会の席上、同様の質問をいただくのですが、「市町のプランを支援したいと思っています」程度にしか県としての丹南地域の振興を説明できず、苦慮しております。

⑦ 均衡ある県土の発展のために、地域特性に応じた振興策を示し、県民とともにビジョン達成を目指すことが必要ではないでしょうか。

以上、県民・市町とともにビジョンを実現するために必要だと感じた点を述べました。現状市町では、2月議会の知事の所信や予算を知り、それに合わせた事業編成はそれからとなるので、新規事業などは9月補正で組み込むことになり、実施が半年遅れになってしまうのです。きめ細かな計画があらかじめ明示されていれば、市町は初めからそれに歩調を合わせて事業を組み立てることができ、その効果は大きいと思います。「希望ふくいの創造」には「『県民主役』の行政を市町とともに推進する」と方針が述べられています。県民とビジョンを共有し、その実現工程を明らかにすることでビジョンの信頼性を向上させ、県内の一体感がさらに高まることを期待し、次の質問に移ります。

2月一般質問3(将来ビジョン)

「将来ビジョン」に関し、思うところを述べます。

私は市議会から県議会へと移ってきたのですが、その際に「県がどういう県土つくりをしようとしているのかよく見えない。」と様々言われました。ベテランの議員や職員からです。県の目指している将来像は「希望ふくいの創造」に描かれてはいますが、残念ながら私にはあまりピンときません。「ビジョン」というからには、頭に絵を描けなければならないと思うのですが、抽象的な文章が盛りだくさんにあって、結局どういう姿なのか読み取れないのです。
このビジョンは県のみならず、市町や県民みんなで協力し行動する拠り所ですから、ビジョンの広く明確な共通認識が必要です。
近隣府県では、それぞれの府県の将来ビジョンを、絵のたくさん入った概要版などを使って、わかりやすく伝えようと工夫しておられます。兵庫県は「漫画版」まで出しています。まずは県民に目指す姿を理解していただかなくては行動のしよう.がありません。

③ 県民の目指すべき将来ビジョンを、もっと万人にわかるような示し方をし、啓発すべきではないでしょうか?


また他府県では、ビジョン実現に向けて様々な具体的工夫がなされています。
石川県では「石川県新長期構想」の中で、まずビジョンをわかりやすく明示したうえで、実現のための重点戦略と施策や達成目標を掲げ、進行管理もしています。
滋賀県では「滋賀県基本構想」の中に、長期ビジョンと8つの中期プロジェクトをかかげ、さらにそれらに対する実施計画と、それとは別に各分野の部門別計画が立てられています。中期プロジェクトには目標とする指標がそれぞれ掲げられ、達成度を中心に進行管理され、毎年県民に報告されています。
岐阜県でも「岐阜県長期構想」の進行管理のために、「岐阜県行政にかかる基本的な計画の議決に関する条例」の規定により、実施状況報告書を毎年議会に提出しています。
京都府では、まず「府政運営の基本となる理念・原則などを定めた条例」があり、それをベースに「明日の京都」と銘打った長期ビジョンを掲げ、その将来像に向かって中期計画をセットで立案、最終的には、毎年の予算に確実に反映される仕組みになっています。
本県の将来ビジョン実現の道筋に関しては、戦略はあるものの、具体的中期計画がありません。

④これまでの議会の議論からは、近隣県でいう中期計画が「ふくい新々元気宣言」に当たるようだ、というのが私の今のところの理解ですが、それでよろしいでしょうか。またそうであるなら、ビジョンとの整合性をわかりやすく図示し、その進行管理の方法をお示しください。

2月一般質問2(TPP)

ホワイトハウスは昨年6月11日、アメリカにおける「地方の農業の活性化」について報告書を発表しました。
・農業関連の事業が順調な伸びを示している
・地方への投資を、2016年までに20億ドルと増やし、農業経済を強化していく
・農村ビジネス拡大のために、ここ3年間で風力発電の供給量を倍増させたが、さらにバイオマスや風力などの自然エネルギーを導入・促進していく。
・合衆国農業のイノベーション(技術革新)は、世界で最も生産性を上げ続けていること。
・オーガニック(有機栽培作物)の市場が拡大成長している
といったことが書かれ、オバマ大統領の農業政策の成果とビジョンが描かれ、農業に力を注いでいる様子がうかがえます。農産物貿易に関しては、
「アメリカは様々なセクションで貿易赤字だが、農業部門は黒字であり、2011年の会計年度で1374億ドルの黒字を記録している。しかしながら農業輸出を増加させることはまだまだ可能である。韓国・パナマ・コロンビアとのFTA自由貿易協定締結は、今後年間23億ドルの貿易黒字の増加と2万人近くの雇用を後押しする。」と書かれています。
オバマ大統領は、2010年の一般教書演説で「今後5年間でアメリカ全体の輸出を倍増させる」と大胆な宣言をしており、昨年の大統領選挙では「アメリカ農産物の国内外の市場を拡大させていく」と誓っています。農産物を売る気満々です
 福井の将来ビジョンの一つは「美しい農村風景を次代に残す」ことですが、国際競争に負ければ、アメリカの農地は風車のまわる青々とした田園風景で、福井の農地は荒れ果ててしまいます。

② 福井の農業を守るために、なおいっそうの経営強化策と国際競争への対応が急務と考えますが、ご所見を伺います。

2月一般質問1(TPP)

小学校では、子供の発達段階に応じて教師の話し方が変わります。小さい子には言葉を噛み砕いてわかりやすく話さないと教育になりません。教師は情報が正しく伝わるように、常に言葉や言い方に気を配ります。
それに対し、政治の世界の言葉や言い方は、思い通りに事を進めるために、意図的に具体的説明を省いたり、難しい表現をして相手をケムに巻いたりしているのではないかと思うことがしばしばあります。

 TPP問題において、「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明らかになった」と安倍首相は述べますが、アメリカ側は「日本がTPPの目指す高い基準を満たす準備ができているかが焦点」だと述べます。日米首脳会談での合意が日本にとって光りの射すことなのか前途多難なことなのかさえつかみにくいのですが、大きな問題ですから「解釈の違いだ」では済まされません。

 さて県では平成22年12月に「『希望ふくい』の創造」という将来ビジョンを策定しました。おおむね10年後に実現ということですが、すでに2年を経過したので、これから8年後が目標実現時期となります。「登山も2合目を過ぎた時に、TPPという大嵐が来る可能性が高まった」といった感じです。多くの重要品目を抱えている日本側が、何を「聖域」として交渉・妥結できるのか、福井県の将来ビジョン達成にどんな影響があるのか気にかかります。正しい情報収集を行い、もし悪い影響が生じるなら、国へ抗議しなくてはなりませんし、克服のための英知を集め、速やかな政策への反映が必要です。そしてそのために、まずは正しい情報収集が必要です。

しかし新聞報道が伝えるように、今後「政府によるTPP参加の地ならし」がなされるとしたら、「いいことは過大に、悪いことは過少に」しか伝わってこない可能性があります。  
 アメリカ大使館のホームページには、「米国政府の公式サイト以外で提示されている記述や内容は、米国政府の政策や見解を必ずしも反映したものではありません。」とわざわざ書いてあります。報道も含め、日本で流れている情報が正確ではないといういらだちを感じます。それならばここはやはり、アメリカ政府の公式発表を直に調査する必要があります。ことは重大で、無防備に待っていてあとで「しまった」では済まされないからです。

① TPPに関し、知事は「国の説明」を求めておられますが、加えて、独自にアメリカ政府の政策や見解を調査・研究し、早めの対応をすべきではないでしょうか?