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2012年09月25日

9月一般質問4

さて一昨年策定された越前市の教育振興ビジョンには、子供たちの現状と課題が書かれています。私の実感とぴったり一致しているのでかいつまんで紹介します。
まず幼児期の課題は「基本的生活習慣の乱れ」「コミュニケーション能力の不足」「子供の安心安全の確保」などです。そしてその背景に「人間関係の希薄化で子育ての不安や負担を感じる保護者の増加」などが指摘されています。

幼児期は、親御さんへの働きかけが特に重要ですが、今年度、年少扶養控除の廃止に伴い「子育て支援 環境整備 事業」の中の「地域組織活動 育成事業」が廃止されました。その分、国から市町には一般財源化して予算措置されたわけですが、このことによって、今後の母親クラブへの助成見直しや廃止を検討すると言われた自治体が出てきています。

⑧ 県として、この事業廃止後の、幼児期の親に対する子育て支援をどのように考えておられるのか、お聞かせください。


 先ほどの続きです。義務教育時期の課題は、「人と人との触れ合いや社会体験、自然体験の減少」「自制心の低下や規範意識・倫理観の希薄化」「学習や生活に対して無気力な子供の増加」などとなっています。変化の激しいこれからの社会をたくましく生きるために、基本的なマナーの定着を図り、コミュニケーションスキルの一層の育成が求められます。
また、不審者の出没や薬物乱用、ネット犯罪といった問題や、バーチャル世代である若者の「生きている実感」の乏しさや、人間関係における齟齬感の増大が指摘されています。一度こじれた人間関係を修復する力が低下しているのです。
教育の目的は「人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として、必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成」です。本県教育は、先に述べた子供たちの今日的課題克服を十分に盛り込んだものであるべきと考えます。

⑨ 最後に、教育長にお尋ねします。福井型18年教育は、今までの教育をどう変え、子供たちのどういった変化を目的とされるものなのか。それを策定・実施された暁には、福井の子供たちは今日的課題を乗り越え、これまでよりたくましく育まれるものなのか、ポイントを端的にお教えください。

以上、若者の健全育成で、私が課題だと感じていることを述べました。これらは、学校の中だけでは解決できず、広く皆様に考えていただきたいと思って、ここまでやってきました。若者が絶望する社会に未来はありません。希望を持って生きられる社会構築のために、理事者各位、同僚議員の皆様の、お知恵・お力を尽くしていただければと念願し、質問を終わります。

9月一般質問3

次に、教育に関して質問します。

私は、教育の仕事に長く関わっていました。仕事は多忙ですが、子供たちの成長現場に寄り添う喜びや、一人前の社会人としての自立を願う気持ちが、私のみならず、多くの教員の励みであり支えとなってきたと思います。
また最も辛く悲しいのは、若者の葬儀に参列するときです。
ご家族のショックや嘆き悲しみは計り知れず、なにより若くして命を絶つ本人の無念さを思おうと胸が張り裂けそうになります。それは時に病気であったり、事故であったりしますが、原因が自殺と聞くとやりきれなくなります。

これは、県担当課から伺った近年10年余りの、県内若者の自殺数のデータです。

黄色が未成年者、青色が20代の若者です。昨年は未成年3名を含む21名、。平成21年には31名にも上っています。ばらつきはあるものの、増加傾向を示しています。
こちらは人口動態です。

国勢調査のあった年のデータなのでとんではいますが、未成年者と20代若者の県内人口は、10年余りのあいだに4分の3ほどに減っています。
人口はかなり減っているのに、自殺者数は増えています。10万人当たりの数に直しますとこうなります。

サンプル数が少ないので、結果がやや極端な表れ方かもしれませんが、たった10年余りの間にも、自殺率が増加していることは事実です。
こちらは全国データです。

人口の減り方は、福井県と同様で、

自殺者数はほぼ横ばいです。
全国と比較しても、福井の若者の自殺率増加は問題です。
学生や社会に出たての若者が、自ら命を絶たなければならない理由は、一体何なのでしょうか。
 
私の知っている県内のケースでは、「小学校からの不登校で、学校籍を離れてからは引きこもり、社会から孤立、成人後、ある日命を絶った」とか、中高生の突然の自殺で、ご家族には全く原因がわからないとか、聞いています。学校原因がないとは言い切れないでしょう。
警視庁データでは、就職活動の失敗を苦に自殺した10代20代の若者も急増しています。それに関しネット上では、「ゆとり教育で挫折を経験しないまま社会に出るからだ」とか、「子離れしない親の甘やかした養育態度が挫折感を増大させる」とか、「日本は一度レールから外れたらやり直しがなかなか利かない社会で、新卒でブラック会社に就職したら、それで人生が終わってしまう」などと、様々な原因が囁かれています。教育にも、親にも、社会にも、見直す点があるということです。

⑧若者の自殺率の増加の背景には、家庭や社会も含めた今の教育のあり方が大きく関係していると思います。教育方針を考える際には、学校の成績だけでなく、人間形成の面が重視されなければならないと考えます。先ほど述べたような県内の若者の現状と本県教育の課題についてどのように認識されているのか、知事に伺います。

9月一般質問2

さて、避難に関し伺います。今回の水害で、保育所や幼稚園、さらには指定避難所である小学校までも被災しています。では、園舎が床上浸水した粟田部保育所の様子をご紹介します。

7月20日 午後2時 大雨が降り出す
2時50分 鞍谷川の水位が急激に上がっていることを園長が確認。
市児童福祉課に報告。県のホームページを教えられたがどこを見ればいいのかわからず、アドレスを伝えてもらうことにする。
3時 5分  水位確認。急増。
15分  水位確認。みるみる増えている。
      避難準備を職員に周知。保護者から電話が何件もかかる。
22分  市に河川の状況と避難の必要性を連絡。
26分  市より県ホームページのアドレスを伝えられる。避難判断となっていた。役員・消防からも避難要請が来る。
園長が避難命令。
30分  避難開始。0歳1歳児はバスで、2歳以上は徒歩で避難。玄関で待機中に玄関前に水が流れ込み、みるみる水かさが増していった。玄関から道路まで、職員が抱えて連れて行く。
45分  園児108名、職員21名、花きょう小学校2階図書室に全員避難完了。保護者に電話連絡。
50分  状況説明とお迎えの対応。
この後、グループ法人から応援が入り、6時に帰宅完了。      

園長先生の感想です。
「福井豪雨の時は保育園が休みでしたが、今回の水害は保育中のことで、私たち職員は園児を守ることで頭がいっぱいでした。避難前に、保護者向け一斉メールを送信して状況を伝える方法もありますが、そのゆとりがない状況でした。小学校に到着後、保護者に連絡してお迎えをお願いしたのですが、花きょう小学校近辺も浸水し、車が大変混雑しました。地区の方々には、誘導に手を取らせてしまったことを申し訳なく思います。
小学校で被害が落ち着くまで保育するとなると、ミルクを飲む園児やオムツをしている子もいるのですが、身一つで避難しますので、今後は避難所にそういった準備が必要となります。緊急時には、子供を見る大人の手が特に必要です。避難所はパニックになっており、人手(ひとで)が必要(ひつよう)でした。」
この園長先生のお話からは、これまでの防災体制を、さらに見直すべき点が多々読み取れます。

④ 避難につながる気象や水位の情報は、県が掴むところからスタートします。これが確実に現場に届き、安全な住民避難に繋がらなければならないのですが、これまでの仕組みが、今回のような「ごく短時間」でも有効かどうか、まずは関係者で詰めなおすべきと考えますが、所見をお伺いします。


中でも、気象情報や水位情報が重要ですが、局所的かつ急激に発達する積乱雲の発生予測は困難で、頼りは水位実測や現場確認となります。しかし関係者が現場確認しようにも、冠水で通行不能、担当者がたどり着けず、間に合わない現状がありました。

⑤ それならば、雨量計をきめ細かに配置する必要があります。今回のような局所的なゲリラ豪雨は頻発が予想されます。これまでの常識ではなく、もっときめ細かく配慮が必要だと思いますが、御所見を伺います。

避難所に関して、熱心に防災活動を行っている地域では実効性のある場所へと見直し始めています。現実を考えれば考えるほどに、小学校だけではなく、民間施設や地区集会場が対象に検討されます。しかし、そういった施設はバリアフリーになっていなかったり、水回りが不備であったりして、高齢者や幼児を抱える親御さんには使用困難な場合が多く、苦慮しています。

⑥ そこで、実効性ある避難所指定促進のために、施設・設備の補助制度を確立すべきと考えますが、所見を伺います。

⑦ さらに、住民・市町・県の責務や役割を明示した「災害時の避難所生活機能の保持に関する条例」を策定し、避難所の見直しを県下で促進すべきと考えます。適切な避難所で、高齢者や乳幼児、子育て中の母親、障害のある方々など、住民が中長期にわたって避難生活を送ることができるような環境整備を進めるべきです。
考えをお聞かせください。

9月一般質問1

日本はしばしば集中豪雨や台風の脅威にさらされます。河川勾配は急峻で、最近の気候変化により、特に洪水や土砂災害が頻発、そして激甚化しています。私たちは、県民の生命と財産を守り、持続可能な社会・経済活動や生活を行っていくために、これら気候変化に対する適応策をとり、強靭な県土の構築に努めなければなりません。

去る7月、豪雨災害が起こりました。猛烈な雨が越前市東部を襲い、建物被害は半壊4棟、一部損壊20棟、床上浸水49棟を含む他合計455棟、他にも農作物や土木施設が被災、局所的とはいえ深い爪痕を残しました。
被害に合われた方々にお見舞い申し上げるとともに、復旧に際して力強く支援いただいた県・国・ボランティアの皆様に、感謝申し上げます。特に、和紙の産地被害に対して、福井豪雨災害の時同様の支援制度を速やかにお決めいただきました。まだ当時の後始末が残っている事業所に対し、融資の据え置きや借り換えができるようにご配慮いただき、感謝の声が上がっております。重ねましてお礼申し上げます。

さて、私は今年の2月議会で、「福井豪雨後の河川整備」に関して質問しました。
「もしまた福井豪雨と同じような雨が降ったら、当時の被災地が『2度とあのような被害を繰り返さない』安心な状況になっているのか。」、「上流部では『ようやくなんとか家を直したのに、もう2度とあんな目に合うのは嫌だ。』と、今も整備を待ち望んでいる。」と、鞍谷川支流の状況を述べました。御記憶でしょうか。しかし今回、正にそこで、あってはならなかった「再度災害」が起きたのです。
県はその原因を「河川流下能力を上回る流水が氾濫した・流木が被害を拡大させた・鞍谷川では未改修部分で越水した」とし、浚渫など当面の対策を、今回予算計上しています。そして今後は計画的な改修に加え、砂防ダム活用、調整池・水田貯留など、様々な治水対策の組み合わせを越前市と連携して十分に検討すると、先日ご説明いただきました。

① そこでお伺いしますが、今回越水した鞍谷川とその支流の岡本川・月尾川の流下安全度は、現在どれだけか、また元々の「計画的な改修」とは、何年かけてどれだけの安全度を目標に改修するのか、お尋ねします。

② さらに、今後検討するとおっしゃる追加対策は、どの程度の安全度向上を目標にするのか、計画的な改修が完了するまでの間それでもつものなのか、お聞かせください。

次に、提言します。
被害箇所を見て回ると、月尾川では福井豪雨当時に壊れた河川堤防と同じところが同じように壊れていますし、粟田部地区でも内水氾濫が以前と同じ場所で起きており、「弱い箇所は改良しなければいつまでも弱いままだ」と痛感します。私は以前から、「元に戻すだけの工事では、大雨が降ったらまた同じことが繰り返される。」と、復旧だけの工事には疑問を感じていましたが、案の定です。
今後の気候変動に備え、再度災害を防止するのために、災害復旧工事は改良を伴いながら行った方が効果的・効率的です。しかしながら、特に普通河川においは復旧が精一杯で、未改修箇所や天然河岸など弱い部分が随所にあると認識していても、市町単独での改良事業に手が及ばないのが現状です。

③ 県や国においては、こういった現実を鑑み、災害復旧事業を「改良」まで可能なように拡大し、末端までの河川強靭化を促すべきと考えますが御所見をお聞かせください。

上流は住民の数が少なく、費用対効果が低いと思われがちですが、命に値段はありません。ましてや水害は上流の山間地が早くに被災し、それが下流に伝播するものです。上流の荒れは下流域にも悪い影響を及ぼします。山も含む上流から下流まで、「河川流域は一体なのだ」と国や各自治体・住民皆が捉え、均衡ある整備がなされることを念じます。