兵庫県豊岡市の
中貝市長から、書籍を頂きました。
「河川文化」 ―河川文化を語る会講演集〈その23〉―
です。中にはいろんな方の5つの講演記録が掲載されており、中貝市長は特別講演として最後に登場されています。
題は「水害とコウノトリの物語 ―豊岡の挑戦― 」です。平成16年の台風23号での水害時の災害対策から現在に至るまで、市の取り組みが綴られています。
早速に拝見しました。
忘れもしない平成16年(福井豪雨や中越地震のあった年です)、10月には日本中を台風23号が襲いました。それに伴う大量の雨で、豊岡市を流れる円山川の水位が急激に変化します。そして堤防決壊、被災、避難・救助、災害ゴミとの戦い、ボランティア等の支援・・・その時の様子が、苦悩とともに描かれています。私も「福井県災害ボランティアセンター連絡会」が出石町(現豊岡市)に出したボランティアバスのナビゲーターとして、被災後でどろどろの出石町や豊岡市に何度か伺ったので、当時を思い出しながら読み進めました。
中でも「災害対応の検証」の項では、災害時の災害対策本部での判断を「追体験していただきたい」とのことで、状況の変化とそのときの市長の判断や対応が、時系列で詳しくリアルに述べられています。首長として迅速に精一杯災害対応をされておられるのに、それでもどんどんと川の水位は上昇し、危機対応とその判断が次々と迫られます。そしてついに起きてしまう闇の中の堤防決壊、被害・・・その文章には「災害対策本部は機能不全に陥ります」「できることはもう何もありませんでした」と書かれています。
文章で書かれた「追体験」なのですが、中貝市長のお気持ちを慮ると胸が締め付けられ、涙が出ます。
またそこには、「避難情報の出し方」や「災害に対する3つの備え」など、まさに「災害から得た教訓」が書かれています。災害を経験された市長の言葉はたいへん『重く』感じます。そして、それらは何処にでも当てはまる事であるわけで、私の住むこの「越前市」でも教訓とし、災害対策に是非とも取り入れなくてはならない事ばかりです。
今立も、福井豪雨で被災をし、死者も1名出しています。
でも、残念ながら行政としての災害検証は目にも耳にも入ってきません。私は山のようにやらなくてはならない事があると思っているのに・・・。
だから、中貝市長の「災害から真摯に学ぶ」姿勢はたいへん尊いと感じます。
その姿勢があるから、その後のまちづくりでの「ビオトープ水田」「自然との共生」「コウノトリの歴史的放鳥」へと繫がったわけです。
感銘を受けるとともに、書籍を送ってくださった中貝市長に、心より感謝と尊敬の念を表します。